「いつでも教えてあげる。
だから、一回俺にちゅーでどうかな」

「……それなら間に合ってます!!」

「あはは。つれないなあ、愛ちゃんは~」

「まった、そうやって」


相変わらず、秋人はチャラい。
ここまで来ると、もう清々しいわ。


「じゃあ、俺との契約終了後もこうやって出かけたりしてね?」

「…え?」


秋人は少し寂しそうな顔で、そう言う。


「…それは、当たり前じゃん」


私の返事に秋人は安心した様に、顔を綻ばせた。
偽物の恋人を辞めたって…私と秋人が友達な事に変わりはないって言うのに。

秋人は、これから何が起こるか、わかってたんだろうか。

だから、こう言ったんだろうか。


その日、外が暗くなるまで私達は勉強をしていた。
遅くなったからって、また秋人が家まで送ってくれる。

いらないって言ったんだけど、送るのは彼氏の役目だなんだってうるさいから仕方なく従った。