「愛、いいなあ~」


体育の授業中。
今日は体育館でバスケだった。

その見学中、有紗がそう言った。


「まだ言うか」

私がそう返すと、

「だって、秋人だよ?
金持ち、顔良し、性格良し、身長高い、頭良い。
とにかく、ダメなとこないじゃん」

有紗は熱心にどれだけ秋人が良いかって事を言っていた。


「ねえ。愛、羨ましいよ」

「本当に」

由紀と翔子もそう言う。


「そうかなあ」

「そうだよ。私が欲しいぐらい」

「あはは」

「でもさ、秋人、モテるから気を付けてね」

「え」

「そうだね。何かされるかもね」

「……」


怖い、怖すぎる。
女の嫉妬は怖い。


「こればっかりは愛を庇いきれないかも」

「な、なんて薄情な」

「だって~」

そうやって、ケラケラ笑う三人。
まあ、でも、秋人と付き合ったって事実が知れ渡ったら、何かされるかもなんて事。
一応、これでも少しは考えた。


「まあ、何かあったら麗さんにでも相談するよ」

「え」


その一言に固まった三人。