「愛ちゃん、そろそろテストだねえ」
「そうだね」
「今度の日曜日、図書館デートしません?」
「それ、いいね」
「まあ、うちでもいいんだけど」
「……それは断る」
「だよね」
絶対、何も起きないって保証がない。
「姉ちゃんもいるから、何もないと思うよ?」
「……それならって言わないからね」
「あはは、やっぱり?でも、姉ちゃん、愛ちゃん連れて来いって言ってるんだよね」
「何で」
何で。怖い。怖すぎる。
「さあ?気に入っちゃったんじゃない?」
「……」
恐ろしい。
身の危険を感じるのは仕方ない事だよね、これ。
あれから、麗さんからメールは来てない。
「ああ見えて、根は優しいからさ。
だから、仲良くしてやって欲しいとか思ってるわけ」
「…お姉ちゃん想いなんだね、秋人」
「…うん、まあね」
一瞬、秋人の顔が曇った様に見えたのは気の所為だろうか?
秋人は麗さんの事も、考えたりして、本当に優しいわ。
学校に近付いてくると、ちらほら生徒が増えてくる。
その時、一際でかい声がした。
誰かはわかってる。