「俺が出す」

「え、いや、出すし」

「彼氏に奢らせろって」

「……うん、じゃあ、お言葉に甘えて」

「うん!それでよし」

「……」


場面場面で、秋人の“男”の部分を垣間見る。


ハイって笑顔で私にクレープを差し出す秋人に、「ありがとう」って伝える。
「どーいたしまして」ってまたもや満面の笑みで返す秋人。

秋人が男って事はわかってたけど、本当に男の子なんだ。


「ねえ、秋人って今までどれだけ付き合ったの?」

「え」


急な質問に、秋人は目をぱちくりとさせた。


単純に。
そう、単純に。

秋人って人物に興味が沸いた。


「俺はね~、うーん、わかんない」

てへ!って頭を小突く仕草を見せるけど、その顔はうまく笑えていない。


「だって、俺の事本当に好きだった女なんてわかんないもん」

「……え?」

「俺も好きじゃなかったから、おあいこなんだけどさ」

「………」