あいつに見られてしまった


でも
私の顔は誰にも見られていなかった

なぜなら


私の唇に
あいつの唇が
重なっていたから


逃げようとしても逃げられない
あいつの手がそれをじゃまする

あいつの舌が入ってくる

それでも逃げられない

力が抜けて
意識がなくなっていく

体をあいつに預け
私は倒れた






「好きって言えよ」

そんな声が聞こえたころには

私は
丁寧にベンチに寝かされていた


「美里、俺のこと好きになったろ」

あいつのドヤ顔が見える