冷たい上司の秘密の誘惑

「おい、そこ。仕事しろよ」

如月部長の檄が飛んだ。

…今の事は忘れよう。

なんて思いこむことで、現実逃避を試みた。


・・・でも、そう簡単に忘れる事なんてできない。

しかも来月の1日って言ったら、

今週の金曜日じゃない。

もう、美幸、私の事はそっとしておいてくれればいいのに。


とにかく、私は木曜日まで、仕事だけに専念していた。

・・・金曜日の朝。

仕事ズル休みしちゃおうかな。

そんな考えが浮かぶも、仕事に障ったらいけないので、

結局、出勤する事にした。


朝礼が始まる5分前。

私はオフィス入りをした。


「遅い、美穂」

「…ゴメン、寝坊して」

当たり障りのないウソをつく。

今朝はいつもより、早く目が覚めてしまった。


「今日、何の日か知ってる?」

「え?・・・如月部長が、紹介してくれる日、でしょ?」


「うん、まぁ、それもあるんだけどさ、

今日は、如月君が昇進する日なの!」

その言葉に、あ~と、思い出す。