冷たい上司の秘密の誘惑

美幸は、その声の主をよ~く知っている。

だから恐る恐る、振り返っていた。


「…どうしたんですか如月部長?」

「イケメンじゃなくて悪かったな?」

…如月部長、顔は笑ってるけど、目は全く笑っていない。

怖い、怖すぎる、このままじゃ美幸がなんだか可哀相。


「如月部長、部長は、誰もが認めるイケメンですよ」

咄嗟に出た言葉だった。

でも、それは決して慰めでも、お世辞でもない。

如月部長は、179㎝、体育会系なさわやかな好青年で。

誰が見てもカッコいいと言わずにはいられない容姿。


「…如月部長…一筋です」

消え入るような声で、美幸は呟いた。


「夜、おしおき。な」

「?!如月部長?!」

私の慌て様にも、如月部長は、全く動じもせず、

サッサと、デスクに帰っていった。


私は哀れみの目で美幸を見る。

・・・う。

美幸は涙目だ。…彼氏とは言え、冷たいぞ、如月!


・・・その夜、私は美幸の事が気になって、眠る事が出来なかった。