冷たい上司の秘密の誘惑

でも、オレの口から声が出ない。

・・・出てくるのは、今にも泣いてしまいそうな

そんな声。・・・男のオレが、そんな声を出せるわけもなく。

ただただ、声を押し殺していた。


「…篠田、部長・・・どうしたんですか?」

少し、心配そうな声が聞こえた。

・・・その声が、オレの中の想いを、声にした。



「・・・・・・れ」

「・・・え??」



「…傍に、いてく、れ」

「・・・」


「お前がいないと…胸が張り裂けそうだ」

情けない、恥ずかしい・・・男のオレが、こんな弱気な事。

それでも、それがオレの想いだった、気持ちだった。

誠の傍になんていてほしくない。

オレの傍にいてくれ・・・・


「どこに」

「・・・何?」


「どこにいるんですか?」

「…オフィスだ」


「動かないでくださいね」

「久・・保?」

そこで通話が切れた。