冷たい上司の秘密の誘惑

【美穂side】

・・・気づいてしまった。自分の気持ちに。

本当はイヤなんかじゃなかった。

抱きしめられて、キスされて・・・

私を見つめるその瞳に吸い込まれそうで、

どうしていいかわからなかった。


大っ嫌い。


二度も言ってしまった後に気付いても、

もうその気持ちを伝える手段はどこにもない。

ただ、好きだと言う気持ちだけが、その場に置き去りにされたまま。

私の恋は気がついた時点で終わってしまっていた。


こんな事ってない。

最悪の恋。

嫌いだった上司を好きになるなんて、

この先どうやって仕事をしていけばいいんだろう。


そんな状態で、1か月が過ぎた。

篠田部長は、私を怒る事もなくなり、

必要以上の会話はもうない。

仕事は軌道に乗り出し、三谷先輩とコンビで仕事をする機会が増えた。


「頑張ってるな」

「・・・はい」


「オレが告白したことは気にするなよ?」

「・・・え?」