冷たい上司の秘密の誘惑

「お前には関係ない、もう就業時間は終わってるしな」

私を抱きしめたまま、三谷先輩は静かに言った。


…ドキッ。


そんな状況で、私と篠田部長は、目が合ってしまった。

篠田部長は何を言うのだろうか?


「…確かに、俺には関係ない」

「?!」

ズキッ、ズキッ。


篠田部長の言葉に、心臓が痛くなった。

・・・何を期待していたんだろう。

篠田部長が、私を好きなはずはないのに・・・

なんて言ってほしかったのか。



「…部長の、バカ」

「・・・久保?」

私の呟きは、三谷先輩には聞こえなかったようで。



「すみません、お先に失礼します」

私は逃げるように、その場を後にした。


…それから数分後。

私の携帯が鳴る。


「・・・もしもし」

私は慌ててそれに出た。


「パソコンの電源を切りに来い」

その言葉にハッとする。慌てていた為、

電源を落とすことも、仕事も、中途半端のままだった。