冷たい上司の秘密の誘惑

「誠の仕事だろ?」

怒った口調で誠に言う。美穂は、そんなオレを見て、

オロオロしている。


「篠田部長、三谷先輩は」
「黙ってろ!」

「・・・」

オレの怒声に、黙り込んでしまった美穂。

しまったと思った時にはもう遅い。…美穂は泣きそうな顔になっていた。

きっと自分を責めているんだろう。自分がこの仕事を引き受けなければ、

誠が怒られなかったのにって…それがまた気に入らなかった。



「おいおい、篠田、ずっと思ってたんだけどな?

久保に、冷たくしすぎなんだよ…他の社員には、全然怒鳴ったりしないくせに」

「・・・」

誠の言葉に言い返す言葉は出ない。


「日に日に仕事ができるようになってるぞ、久保。

この仕事だって、全部を任せてるわけじゃない。

資料集めや、整理、十分、オレの片腕になってる。

もっと久保の事を見てやれよ、お前コイツの上司だろ?

簡単な仕事ばっかりやらせてたんじゃ、一人前になんてならねえ」


「…分かってる、そんなこと」

誠の言葉に、納得はできる。一人前にしたいと言う気持ちは、

上司のオレが一番願ってる事だ。

それでも、もう少し、オレの傍に置いておきたいんだよ・・・