冷たい上司の秘密の誘惑

困った顔で、オレから視線を逸らした美穂に、

イラッとしてしょうがなかった。


…誰かをかばっているのか?


「おい、久保、応えろ」

「・・・」

どうしても答える気はなさそうだ。

そんな時だった。


「悪い、久保、遅くなった」

「…ぁ、三谷先輩」

男の声に反応して、美穂は立ち上がった、

バッドタイミングだと言わんばかりの顔で。


「・・・あれ、篠田、部長、早いですね」

そう言って微笑んだ誠。

「おい、誠、お前か、こんな無理な仕事を久保に頼んだのは?」


イライラしながら誠に問いかける。

・・・誠は、オレと同期で、でも出世したのはオレが先だった。

でも誠は、全く気にしていない。出世する必要は自分にはない、

いつも言っている事だった。仕事は出来る男なのに、

出世しないの一点張りで、上層部も手を焼いている男。


「そうだけど?」

誠はケロッとした顔で答えた。これは誠が任されてる仕事だ。

それほど難しい仕事なのに、なぜ、美穂に任せているのか?