冷たい上司の秘密の誘惑

「…すみません」

もう、謝るしかなかった。

言いかけた事が気になったけど、聞くことは出来なかった。

だって…スッゴク怖い顔してるんだもん。


「さっさと味噌汁飲め」

「…はぃ」

借りてきた猫のように、大人しくなった私はまた静かにみそ汁を飲みだした。


…和やかな空気はどこへやら。

ピリッと張りつめた空気の中、味噌汁を飲み終えた。


「この借りは、返してもらうからな」

「・・・え」

俯いていた顔を、篠田部長に向ける。篠田部長は、

不敵な笑みを見せた…この笑顔が、私は一番怖い。


…律儀にも、篠田部長は、お皿を、私の分までちゃんと洗い、

帰っていった。


冷たい上司、大っ嫌いな上司に、

それはそれは、大きな弱みを握られた、そんな気分だった。