「ありがとう。圭介くん。それじゃあ、サンタクロース第二の関門を紹介します!」
彼女は覇気を取り戻したような声で言った。
「それは、後継者探しです!」
「つまり、今の僕だな」
「はい。サンタクロースとなった者は、その年の12月から約6ヶ月間、サンタ候補者を探します。そして残りの6ヶ月で、サンタ候補者から後継者候補を探し出し、次の年の12月、自分自身がサンタクロースの仕事を終えた後に引継をお願いしに行くんです」
彼女はゆっくりとひとつひとつを確認するように説明した。
「しかし杜撰な制度だよな。断られたらどうするんだよ」
「候補者の項目に、献身的であるとありますから、断られるケースは少ないそうです。もちろん、項目はあくまで目安程度にということですが」
「断られないような人間を探し出すのも腕のうちって感じなんだな」
「そんな感じなんでしょうかね…?」
美咲先輩は頭にクエスチョンマークを浮かべる。
「なんで疑問形なんだよ…」
僕は我慢できずにそうツッコミを入れた。
「ええっと、それでは、とりあえず挨拶に行きましょうか!」
話を逸らすような誘導だった。
「どこに行くんだ?」
「他のサンタクロースに挨拶に、です!」
