「それでは、サンタクロースの来年の12月までの活動の流れを説明しますね」
美咲先輩は一度座り直して僕に話し始めた。
「まず、圭介くん、今現状で一週間のうち、空いている日はありますか?」
「月火木金はバイト、水曜はサークルだな…」
「土日は、空いてますか?」
「んー、基本は空いてるが、たまにサークルの予定が入るな」
「…そうですか。では土日をどう組み合わせても良いので、ひと月に最低4回、確実に空いてる日を作ってください」
彼女は一度うーんと考え込み、そして結論づけるように言った。
「了解した」
「その日を、サンタデーと設定します」
彼女は左手の人差し指と親指を立て、自分の顔の横にそれを示した。
「サンタデー?」
「サンタクロースの財源ってどこにあるんだろう。そう考えたことはありませんか?」
「……なるほど」
納得した。
「察してくれてありがとうございます。場所は、私が提供しますので」
「がんばらないといけないな…よし!」
僕は気合を入れるように言った。
「これがサンタクロース活動のなかでの第一の鬼門です。圭介くんの担当範囲は浜松市の子どもたちですから、配達もかなり厳しいかと…」
「…僕は過労死するのか?」
「た、たぶん大丈夫です! 浜松市は政令指定都市ですから、サンタクロースは結構たくさん居ますし、わっ私も一緒にがんばりますから!」
彼女は慌てた声で、頼りなくそう言った。
「私もって…就活はどうするんですか」
「そっちも…がんばりますから」
彼女の声はだんだん小さく、消え入りそうになっていた。
「…あまり無理しないでくださいね、先輩。先輩の人生が第一ですから」
僕はため息をつくようにそう言った。