「なるほどね、それで『一応』なのか」
僕は納得した声で呟いた。
「何か仰いましたか?」
「いえ、何も!」
「それではこれで引継にあたる注意点の説明を終わります。あなたの最後の仕事よ。頑張ってね」
「はい! じゃ、行ってきます!」
…そうだ。
大好きな彼女に会ったら、デートの前にサプライズプレゼントを贈ろう。
規則を破った悪いサンタクロースはどこだって冗談を。
…彼女、どんな顔するかな?
「っと、その前に、引継だ。」
「…サンタって、苦労するな。ほんと」
苦労と多忙の毎日は、雪のように降り積もり、
僕の夢と彼女の想いは、冬を過ごし一年越しに実を結ぶのだ。
長い時を経て成就したカップルは、クリスマスの夜、初めて恋人として歩き出す。
その日は、雪のちらつくホワイトクリスマスだった。