美咲先輩と共に過ごす日々は稲光のように過ぎて行き、ついに、12月となった。

今日は稼いだお金を使ってプレゼントの買い出しをするということだった。


「…ついに12月ですね、先輩」


僕は美咲先輩のほうを見てそう言った。


「…なんとか、間に合いましたね」


美咲先輩は安堵の表情だ。


「というか、100万っていう目標額を提示された時点で1人じゃ無理だって気が付きませんか?」


「うぅ…もうその話は引っ張らないで…」


この話をすると決まって美咲先輩はこんな反応をした。


「…はい。まあ何はともあれお疲れ様です。先輩」


「圭介くんも、お疲れ様。頑張ってくれてありがとう♪」


美咲先輩の笑った顔はすごく素敵で。
僕はすっかり彼女の虜になっていた。


「…いえ、子どもたちのためを思えば、ですよ」


美咲先輩と一緒に居たかったからなんて、恥ずかしくて口が裂けても言えなかった。


「えへへ、ほんとに良いサンタさんになったね、圭介くん」


「美咲先輩にそういってもらえて良かったです」


「みんなおんなじようなこと言うと思うよ?今の圭介くんの言葉を聞いたら」


「…でも、美咲先輩に言ってもらえて良かったです」


「…そっか。そっかそっかぁ」


美咲先輩はなんだか嬉しそうだった。


「…?どうしました?」


「んー、いや、別に? さっ、買い出し行くよー」

「しっかし上の人も経費削減するよねー。プレゼントの費用稼ぎも、買い出しも、デリバリーも私たちが関わるなんて」


美咲先輩は上機嫌で僕に話しかける。


「まあ、なんだかんだ楽しかったし良いじゃないですか。それに…」


「それに?」


「このシチュエーション、なんだかデートっぽくないですか?」


僕は意地悪く言う。


「う、そ、そうかな? ただの買い出しだよー」


「あはは、やっぱり楽しいや」


「あー!今私をからかうの楽しいって思ったでしょー!」


美咲先輩は怒った顔で僕につっかかる。


「え?そうかな? さあ、買い出し行きますよー」


そう言って僕は歩き出した。


「…うぐぐ」

「…でも、楽しいかあ。…へへ」