6月某日。
僕は美咲先輩に呼び出されて家の近くのカフェに向かった。
「…さて、圭介くん」
美咲先輩はコーヒーカップを置いて僕に話しかけた。
「どうしました?」
「サンタ候補生から後継者候補は見つけられましたか?」
かしこまった顔で彼女は訊いた。
「ええ、3人ほど。美咲先輩のようなミスはしませんよ、僕は」
「~~~! それは、私のせいではないと圭介くんも言ってくれたじゃないですか!」
美咲先輩は顔を赤くして言う。
怒ってるのか恥ずかしがっているのかはわからなかったが、その姿が可愛らしかった。
「いやなんか、そう言ったら面白そうだなって」
「…からかわないでください、もう。」
美咲先輩はふくれっ面だ。
「…っと、そうでした!」
先輩は思い出したかのように言う。
「?」
「今日で、指導期間は終わりです! これからは自分の判断で、自分のサンタ道を歩んでくださいね!」
「え、ちょ、マジ?」
サンタ道という言葉に突っ込むことも出来ずに僕は訊いた。
「はい♪ 最初も説明しましたが、ここから6ヶ月は後継者候補の適性審査と、引き続きサンタデーでの活動となるので、ふつうは、先代の役目はここで終わるんです」