Prologue.

「あっ、あのっ、私とせっーー」


突然僕の目の前に現れた女の子は、そこで言葉を詰まらせた。
頭から煙を吹き出しながら、小さく縮こまる彼女。


「…とっ、とにかく今から、私とひとつになってくれませんか!?!?」






12月24日。
大学2年の僕は、未成年最後のクリスマスイブを迎えていた。
明日は僕の誕生日だ。

僕の目標は、成人するまでに彼女を作り、彼女とクリスマスを過ごすことだった。

…結果は悲惨なもので。



「…クソッ、神様はなんて無慈悲なんだあぁ!」



…結局、僕のもとへ素敵な彼女が現れることはなかった。
明日で彼女いない歴20年の独り身となってしまうのだ。



「はあ、最後のクリスマスも一人かよ…。もう神様じゃなくても良いよ!サンタさん!僕に彼女をください!!」


一人暮らしの空虚な部屋で独りそう叫んで、僕は我に返らされる。


「なんて、とーちゃんかーちゃんに頼んでも仕方ないわな…。 一人で何叫んでんだよ僕、きもっ」


「…寝よ」


この時、布団に潜り込んだ僕は知りもしなかった。
まさか、この先の僕の人生が大きく狂わされることになるなんて。