四月上旬の朝……。

　東からのぼる太陽の光がまだ弱いらしく、少し肌寒さが残る朝となっている。


「ぬぬっ！」


　しかし、南から吹く暖かい風は気持ちが良く、季節も冬から春へと変化しているのだと実感することができる。


「うひょーーーっ！」


　そんな桜が咲きはじめてもおかしくないこの時期なのだが、残念ながらここ河川敷には桜が一つも植えられてなく、開花した芽を見ることができない……。


「ふおおおおおおおおおおおっ！」


　しかし、代わりといっては何だか、周りには遮蔽物一切ないので風を目一杯感じ味わう事ができる。


「かぁーっ！　まさかのそんな色？　ダークホースすぎる！」


　その風に常に当たりながら通る事ができて、ずっと続くこの長い一本道は、今回の話しの舞台となる飄々高校の通学路である。



「今のは黒色とダークを若干かけたんだね？　さすが、好（こう）ちゃん！」


　……ちにみに、先ほどから恥も外聞もなく騒いでいるこの二人は、飄々高校の制服着ているのでおそらく通学中の生徒であろう。


　決して春に良く出るアレではないのでどうかご了承下さい。