ぼんピー

「近くに行かないと! 練習中に見たって絶対良くわからないってっ」


「そうか? 集中すれば全然見れる距離だぜ? お前もまだまだ修行がたりないな」


「いやいやいや……」


 少し目を凝らしながらプールを見る要。人の有無はともかく、顔やスタイルなんて判断できないことを再確認する。


「いや、集中とかそんな問題じゃなくて、好ちゃんが特別なだけだから」


 得意げになっている好に、あなたは普通じゃないんですよと、ちゃんとツッコんであげる。


「まあ、ボクはそれで全然いいけどさぁ――って、そんなこといっている場合じゃない、早くしないと――」


「こらあぁっ! 一年っっ、着替えたんなら早く来いっ! 集合だぁっっ!!」


「「は、はいっ!」」


「ほ、ほら先輩達集まっちゃってるよ!」


「おおっ、灯台下暗しだ! 完全に野球部通り越してプールしか見えてなかった!」


 二人はグラウンドの一塁ベンチ側で集合している野球部員達のもとにあわてて走って行った。