「ふんっ、お前がどんなに評価しようが、昔どんなに凄かったろうが、俺はこの目でちゃんと確かめるまでは信用しねーからな」


「まぁーた、そんなこといって。まあ、僕もリトルまでの衛守くんしか知らないからあれだけど、当時は本当に凄かったんだからな」


 もう何度も二人の間で繰り返された会話に太一郎はため息をもらす。


「キャッチャーをやることを嫌がってるお前のいうことなんか信用出来るか!」


 そんなため息を一蹴してしまう翔太からのキツーい言葉。これも何度も繰り返されている会話だろう。


「ぐっ、だからそれは、元々セカンドの僕には重荷じゃないかなーって思ってるだけであってだな……」


「どうだかっ。第一お前は、ちょっと目を離すとバレない程度に器用にサボろうとする奴だからな! キャッチャーをやらせてるぐらいの方がちょうどいいに決まってんだよっ!」


「ひ、ひどいいわれようだ……。あ、そういえば、もう一人ピッチャーやってたって子も来るぞ。こっちは名前も聞いたことない子だけど」


 話の流れが良くない方向に流れていることに気がついた太一郎は、面舵いっぱいで流れを変えることにした。


「ふんっ。どんだけ名前が知れてるかなんか関係無い。さっきいった通り、この目でしっかりと確かめるだけだっ」


「お前は本当にブレないなー。まあ、名前は聞いたことないんだけど、衛守くんがやけにプッシュしてたんだよなー」


 翔太からの返答に笑いながら、二人がグラウンドに来るのを待つ太一郎だった。