時刻は昼過ぎ。


 雲ひとつない快晴の青空の中、燦々と輝く太陽。

 そんな太陽から暑く照らされる飄々高校のグラウンドからは、叫び声や、乾いた金属音が鳴り響いている。


「おらあああっ! どうしたライトっ! 今のはスタートさえ早けりゃ、全然取れる打球だぞっ!」


「すまん! もういっちょっ!」


「当たり前だっ! おらっ、もういっちょっっ!!」


 また、カキィーンと鳴り響く金属音。放たれた硬球は青空をバックに綺麗な弧を描く……。



「乾の奴、やけに気合入ってるな……」


「それは、そうでしょ。梶さん」


 そんな打球を眺めながら二人の男が会話している。


「なんたって、この前の春季大会はあいつがインフルエンザにかかったせいで、人数割れて出場することができなかったんですから」


「ああ、あいつのせいでな」


「はい、あいつのせいで」


 ナイスキャッチーっという声がグラウンドに響き渡る。先程ボールに追いつけなかったライトが、今度はちゃんと追いつき取ることができたらしい。


「それで練習復帰してやる気全開だと……」


「そうですね」


「うーん……」


「…………」


「まあ、あいつのせいなんだけどな」


「はい、あいつのせいです」


「……そこの二人っ! 聞こえてるっていうか丸聞こえだっ!!」


 ノッカーに見つかってしまった二人には、この後死ぬほど連続で打球が飛んできたそうだ。