突然の大声に驚いた顔をする好。要達も目を剥いて注目する。


「ち、ちーちゃんおちついてっ」


 早苗が千夏を手を握り必死になだめようとしたが、千夏は止まる様子がない。


「私は野球やってる奴が大っ嫌いなのっっ! 特に……っ、特にピッチャーやってる奴がっっっ!!」


 鋭く強い眼差しで好のことを睨みつける千夏。怒り、憎しみ、色々な負の感情が合わさった目で真っ直ぐに好を捉えている。


「――っ!?」


 好は自分が思春期男子特有のバカな行動を起こした時を除いて、心当たりのない所でここまでの嫌悪感を向けられたことがなく、顔を強ばせるだけで反応することができずにいた。



『おい何だ何だ、どうしたんだ……』


 千夏の大声は廊下中に響きわたっっており、教室から顔を出す生徒や、廊下に出始めた生徒達の注目を集める。


「おーい、お前らさっそくまた何かしたのか?」


 担任の先生も生徒達をかき分けて騒ぎにかぎつけにくる。


「ふんっ、私に二度と話しかけないでねっ」


 千夏は周りの人達の視線を避けるようにこの場から去っていった。


「ち、ちーちゃん待ってよー!」


 早苗もチラチラと、好達の様子を気にしながらも、ペコリとお辞儀をして千夏の後を追っていってしまった。










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「な、なんじゃそらああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」