ぼんピー

 教室前の廊下。

 結局教室に入れてもらえなかった三人は、仲良く廊下で立つことになった。


((ワイワイ、ガヤガヤ……))


 教室の中からは上手く聞き取れることはできないが、なにやらにぎやかな声がきこえてくる。そろそろ、自己紹介が始まったころだろうか。


「ふふふふふふふふふふふふふふ」


 そんな中、立っていなければいけないのに、廊下で膝をかかえて座りこんでいるバカがいる。


「ふふふふ腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐」


 負のオーラ全開でブツブツと呪詛のようなものをつぶやいているバカ。


「こ、好ちゃん怖い……」


 もちろんそのバカの正体は好である。

 
 要のいうことになど耳もかさず、地面の一点だけを見つめてひたすらブツブツとつぶやいている。


 あまりの落ち込みっぷりに自分も引き込まれそうになったので少しだけ距離を置く要……。


 気のせいか、窓から吹き抜ける心地よいはずの風も、心なしか肌寒く感じてしまう。



「でえぃううらっしゃああああああぁぁぁぁっ!!」


「ごふふふふふふふううぅぅぅぅぅっっっ!!!」


 そんな負のオーラをばらまく好にむかって塩で清めるかのようにモンゴリアンチョップをかます女の子。


「~~~~~~~~~~~~~~~っっ!」


 首筋に両手を当てながら悶絶する好。右から左、左から右へとゴロゴロと廊下を転がっている。


「な、なにしやがるっ!」


 ピタリと転がるのを止め、たまらず女の子に向かって叫んだ。