「なっ……ま、まるでっ、人が見せびらかしてたみたいな言い方するな!」


「ぐふぅっ!」


 顔を真っ赤にしながら、手に持っていた指定鞄で好を殴りつける女の子。


「じ、実際丸みえだったんだから、見せびらかしてたのと同じだろ!」


 転けた姿勢のまま、好は頬に手を当て涙目で反論する。


「例え見えてたとしても、この人は見てなかったんだから、まじまじと見て大声出すあんたが悪い!」


 女の子はさらに怒りながら要に指を指した。


「…………(ニコリ)」


 笑みを浮かべる要。


「よく見ろ! そいつの笑顔が引きつってる事を!」



「……? 何意味分からない事いってんの? 第一あんたの声しか聞こえなかったもん。いいから謝れっての……っ」


「いたたたたたたたた」


 好の心の底からの声は全く届かず。

 女の子は半眼で、好の頬を鞄の角で執拗につつき続けた。