好と要の視線の先には、一人の女の子がいた。


 飄々高校の制服を身にまとった女の子が、高校に向かって走っていた。



 栗色でベリーショートな髪を精一杯なびかせながら、ぐんぐんと加速し地面を駆けていく女の子。


 しなやかな足を目一杯伸ばす軽快な走りは、まるでカモシカのようで、見る者を引きつける。


 本当に見とれてしまいそうな程、綺麗走りである。


 走りであるのだが……、



「な、パンツ丸見えだろ!」


「うん、惜しみなく見えてるね」


 飄々高校の女子の規定の制服は、地元でも評判のセーラー服だ。

 全体的に落ち着いた色で統一されており、スカートやリボンはチェック柄で大きな襟にはワンポイントでピンバッチがついている。

 とても女の子らしく、可愛い制服だ。


「くう~、あの健康的な太もももがたまらんな!」


 だが、今はデザインの話なんてどうでもいい。

 今走っている女の子が、その可愛いセーラー服を着てしまっている事が問題なのだ。


「これは得したねっ。ギリギリの時間帯だから、周りにいた生徒達ももういないし」


 彼女が地面をひと蹴りする毎に、ひらひらとめくれ上がるチェック柄のスカート。