「よーし、この調子なら間に合いそうだな」


 高校に向かって走っていた好達だが、徐々に走るスピードを緩める。


「だね、後は歩いても十分間に合うでしょ」


 好に追いつい要も、ハァーと息を整えながら足を止めた。


「(タタタタタタタタタタッ)……!」


 その瞬間、好達の後ろからもの凄いスピードで何かが通りすぎる。


「うわっ」


 死角から追い抜かれた事もあり、ただただ驚くばかりの要。


「うひょおおおおおおおおおおおおおっ!」


 そして、ただただ興奮するばかりの好。


「……て、どうしたの好ちゃん!? 急にまたテンション上げちゃってっ?」


「要、前を見ろ! 目の前に桃源郷がある!」


「ま、前?」


 急な好のテンションに戸惑いながらも、前を見る要。


「Oh……こ、これは……」