試合はうちの高校が優勢だった。


今年のチームは強いらしい。
その通りだと思った。



過去ここまでの成績を残せたことはないと言う。



俺たちの高校は一応県内でも進学校なので、部活に在籍していられるのも夏までだ。

よってこの県大会が3年がいるスタメンでの最後の大会となる。


しかしこの試合に勝てば、インターハイにいける。

部活を、バスケを続けていられる時間が伸びるのだ、なんとしてでも勝ちたいと二戸は言っていた。



眼下の当人は、試合が始まってもう大分経つというのに軽いステップを踏んでいる。


赤いユニフォームが、よく似合っている。



二戸はとても楽しそうにバスケをする。



こっちが劣勢でも、それは変わらない。


その姿を見るのが好きで、受験勉強を放り出して今日も見に来てしまった。




俺の恋はあの文化祭の日から、胸の中でくすぶって、大きくなるばかりだった。



消化されない想いは、消えることを知らない。



ほんとうに、どうしようもない。



自分でもあきれるばかりだ。




すると、俺はある視線に気づく。


眼下の、選手席からだ。





目の大きい、黒髪をひとつにまとめた女子がこちらを見ていた。



なんだ?


俺がそれに気づくと、すぐにそっぽを向かれた。


誰だろう、あの女…



うちのジャージを着ているし、マネージャーといったところか。

なぜ俺が睨まれねばならない。



そんなことを考えていると、まわりがうるさくなりだした。


慌てて試合の進行を見ると、ちょうど二戸が相手チームのボールを止めようと手をのばしたところだった。