卒業式が終わった教室は、どこかいつもと違う空気だった。
数人の女子はまだ目が赤かったし、みんなどこか浮かない顔をしていた。
担任の最後の挨拶も、終始晴れやかな顔だが、どこかものさみしく、なんでもない挨拶だったが聞いているといい言葉に思えてきた。
青い光のなかに
山並みは萌えて
遥かな空の果てまでも
君は飛び立つ
教室の窓から空を見ると、先ほどのフレーズを、思い出した。
こうして思い出すと、なかなか感慨深くなるものだ。
担任の挨拶が終わる。
女子たちのすすり泣く声があちこちで聞こえる。
ああ、これで最後なんだと思い知る。
この学ランを着るのも最後。
中庭の早咲きの桜は白っぽくて、桜という気がしなかった。
いつも元気な掛け声が聞こえてたグラウンドには、誰もいない。
もう自分のロッカーには、履き古した上履きだけしか入っていなかった。
今日は購買も閉まっている。
自販機は相変わらず稼働していて、古さのせいか低く唸っていた。
澄んだ青空。
快晴。
俺たちは、卒業するのだ。


