できることなら、










「やっぱり、俺バスケが好きだから。上京はしない。ここに残るよ」









できることなら、なにも知らない子供のままでいたいものだった。


なにも知らず、永遠のときを信じてただ笑って過ごしたかった。






でも俺たちは。

お互いの道が、必ずしも同じではないことを知っている。



二戸。


お前とずっと一緒に入れるなんて思ってはいなかった。

でも、今こうやって言葉にすると、こんなにも。







「二戸、おめでとう」

「風志…」

「俺は、東西大学に行く」









言ってから、無性に泣きたくなった。


北山大学は県内にあるスポーツの強い大学だ。
俺の志望する東西大学は、東京。





俺たちは、離ればなれになる。





遠く、離れてしまう。






「わかってたんだけどな…」





数刻の静寂を破り、二戸がぽつりと呟いた。




「え?」




なんでもない、と言って外を見る。



もう一番星だけではなく、ほかの星々が煌めき始めている。


「みんな、違う道に進むんだよなあ」

「ああ…」

「このクラスの奴らも、半分は地元から離れるんだろうな」


一応進学校なので、上京する生徒が多い。
ほとんどのクラスの生徒の半分が地元を出て有名私立大学や国立大学へと進学する。


俺の志望する東西大学も国立だ。