今、なんて言ったの?


 そうだよってのは、どう考えても、あたしが好きっていうこと……



「何、言ってんの。好きだったら、振らないじゃん……!」


「小泉のこと、好きだよ。生徒とか、関係なく。」


「あのね……!」


 からかうなって言おうとした。


「女として。恋愛対象として、意識してる。好きだよ。」


 完っ全に、思考が停止した。


 思考が再び動き出したとき。


 胸の鼓動は、すごく速く脈を打った。


「……じゃあ、なんで振るの。」


「大切だからじゃん。先生と付き合ったら、お前、絶対苦しむ。嫌だから、そんなの。」


 なにそれ。


「あたしの恋ってそんなもの……?」


 ふざけないで。


「これでも、あたし本気なんだよ?先生を好きになった時点で、あたしは十分苦しんでる。傷ついてるよ。」


 ずっとそうだ。


 それにね?

 最初から、分かってたんだよ。


「苦しむだけの恋なんて、最初から知ってたもん。」


 好きになっちゃいけないなんて、分かってた。


 それでもね、好きになっちゃったの。


 もう、先生しか見えないの。


「だから、先生が愛してくれたら、それであたしは十分なの。他に何にもいらない。」


 先生の胸を少し押して。

 先生の顔を見上げて言った。