昔、あの頃もそんなことを思ってた。


 だから、その胸の苦しみも、悲しみも、よく分かる。


「実花さん、あなたのしたことは犯罪です。あたしは簡単には許せない。」


 そう言うと、実花さんは悲しく笑った。


「そうね、警察にでも言えば……」


「でも。」


「えっ?」


「あたしは、実花さんの気持ちを知ったから。その痛みが分かってしまったから。あなたを責めることは出来ません。だから、これからは良い友達として、仲良くして下さい。」


 そう言うと、実花さんは目を丸くした。

 でも、すぐに笑顔になる。


「ええ、これからも宜しくね。蛍。」


 『蛍』なんて、初めて言われた。


 あたしも笑顔になる。


「意味分からねぇ……」


 先生は頭を抱えたけれど。


 これで良かったって思う。


「蛍、元気になったら駅前のカフェ行きましょう。あそこのケーキ美味しくって……」


「はい!やっぱり、あたし達って気が合いますね。」


「あぁ、飲み物とか?」


「「考え方とか!!」」


 実花さんとあたしの声が重なる。


 そして、笑い合った。


「あー、もういいや。瞬なんてやーめた!!」


「え?」


 いきなり、実花さんが叫んだ。