「なんで居るんだよ……」


「蛍ちゃんは、友達だから……?」


 友達じゃないから、語尾に?が付く。


 「てか、花瓶、割れてんじゃん……危ねぇよ。俺が片づけるから。」


 ねぇ、瞬。


 別れてからも、やっぱり優しい君は。


 勘違いしちゃうほど、優しいから。

 余計、辛くなるんだよ。


 もしかしたら、なんて考えて。


 でも、もう何とも思ってないから、そんなに優しいんだ。


 なのに、期待して。


 惨めじゃん、私。




 瞬は、蛍ちゃんから離れて、割れた花瓶の始末に取り掛かった。



 私は、蛍ちゃんに近づいて、寝顔を見る。


 さっきと変わらず、幸せそうに微笑んでいる。




 急に、ムカついてきた。


 私は、欲しくても、泣いても、願っても。

 瞬は向いてくれない。


 でも、蛍ちゃんは何もしなくても、その優しさも、笑顔も。

 独り占めできるじゃない。


 なんでなの、瞬。


 付き合いだって、一緒にいた時間だって。

 なにもかも、私が勝ってるのに。


 化粧だってして。

 オシャレもして。

 なのに、なんで私じゃないの?