ダメだと分かっていたけれど。




 ゆっくりと、唇を離した。


 たった一瞬のこと。

 でも、あり得ないくらいドキドキして。


「ごめんな、小泉。俺、お前を守れてないな……」


 まだスヤスヤと寝ている小泉の頭を撫でながら言った。



 その時。



 パリーンッ


 ガラスが割れるような音がした。


「えっ……?」


 開いたままのドアの方を見ると。


「み……か……?」


 何故かそこに、驚いたように目を見開く、元カノの実花がいた。



 実花の手から落ちたらしい割れた花瓶だけが、全てを知っていた。