「だから、蛍ちゃん。あなたには、痛い思いしてもらうわよ。」
実花さんは、男の人に「いいわよ」と合図した。
その合図のすぐ後。
バンッ
という音。
そして、あたしのお腹が、吐きそうなほど痛くなった。
「うっ!!」
実花さんは、あたしの痛そうな顔に、声に、にこやかに笑った。
とても、満足そうに。
なんで、実花さんは。
嫉妬だけで、好きな人を陥れようとするのだろう。
あたしには、出来ない。
しようとも、思えない。
でも、そこまでしちゃうのは……
「……もう、いいわよ。」
実花さんの言葉で、男の人はあたしを殴るのを止めた。
何発あたしは殴られた?
何十発、殴られた?
分かんない。
唇が、血の味がする。
あたし、なにかしたっけ……
実花さんは、なんであたしを恨むの?
なんとなく、分かる。
けど、この人たちはなんで?
なんの躊躇もなく殴れるの?