家を、両親に気づかれないように、出た。
目の前には、一台の車。
その車のドアが急に開いて。
実花さんが出てきた。
「蛍ちゃん、自分がなにしたか、分かってる?」
実花さんの顔は、怖かった。
ううん、怖いなんてものじゃない。
今まで見た誰よりも、勝る怖さ。
「……」
「まあ、車に入って話しましょ?」
実花さんはそう言うと、何も言わないあたしを無理やり車の中に入れた。
車の中には、強そうな男が3人。
「これ、なに?」
そう言って、実花さんが見せてきたのは、昨日の先生に抱きしめられている写真。
……やっぱり、見られてたんだ。
「これは……」
「あなた、瞬を苦しめたいの?」
苦しめたい?
あたしはどんなに苦しんでもいい。
だって、元々分かっていたことだから。
でも。
先生に、あたしのせいで苦しんでほしくないよ。
「お願い。あたしのことは傷つけていい。でも、先生は……」
「分かってるわよ。私だって、瞬を傷つけたくない。だって、好きな人だもん。だから……」
そう言うと、実花さんは……


