「うん、そうだけど。」


 え……


 いや、今のは教師として言ったんだ。

 なんか、勘違いするとこだった。


 あたしが一瞬でも考えたことを忘れるために、頭をぶんぶんと振っていたら、


「どうした?」


と、先生に笑われた。


 キュンッ


 なんだ、この胸の音は。

 なんでドキドキしてんの……


 間違っても、恋じゃない。


 先生がイケメンだからだ。

 先生の、せいだ。

 ……きっと。



 だってもう、恋はしない。したくない。

 特に、こういう恋は。


 絶対、苦しむだけだから。


「もう、大丈夫?」


「うん……」


「顔、怖いよ。」


「嘘っ!?」


 あたしは俯いていた顔を先生の方に上げた。


「ははっ、嘘。可愛いよ。」


 それは、反則でしょ……

 可愛いなんて言ったら、女の子はすぐ落ちちゃうよ?

 
「まさか、狙ってます?」