注文した飲み物を持って、席に座った。


「蛍ちゃん。」


「はっ、はい……」


 実花さんに名前を呼ばれると、緊張しちゃう……


「その様子からは、私が誰だか分かるのね?」


「……」


 実花さんの声は、一気に怖くなった。


 あたしは、俯いた。


「これを、見てくれる?」


 実花さんは、鞄から、写真を出してきた。


 それを、あたしの前に置く。



「あっ……」



 その写真は、あたしを教室で抱きしめている先生の写真だった。


 あの時、撮られてたの……?


 動揺しているあたしを見て、実花さんは笑うと、更に話を続けた。


「これ、どうしよっかなー……蛍ちゃん、瞬と付き合ってるの?」


「……あたし、は。先生のこと好きだけど、先生はただ優しいだけで……」


「だから?生徒を抱きしめられるの?」


「……」


「あたしね、あなたの学校にスパイみたいな?入れたの。そしたら、こんなの撮れちゃったぁー」


 ……怖い。


 目の前の、実花さんという人が。


「……どうする気ですか。」


「瞬と、付き合ってるの?」


「……いいえ」