ダメだと分かっていたけれど。



「いや……いきなり謝られても……」


「あっ、ですよね……」


 あたしは、頭を上げた。


 その時、目に映ったのは、困った顔をしているきれいな女の人。


 あれ……見たことある……


 んー、誰だっけ?


「これから学校よね?私の電話番号。学校終わったら、連絡して?」


「あっ、はい……」


 女の人は、小さな紙を渡して、「じゃあね」と手を振りながら、電車が駅に着いて開いたドアから出て行った。


「……」


 残されたあたしは一人、紙を眺めた。


 なんだったのだろう。


 っていうより……


 あたしが叫んでたからか、近くの人達にすっごく見られてる……


 恥ずかしい……



 あたしは、紙をもう一度見た。


 そこには、名前が書いてあった。


 はらだ、みか……


 みか……?


   あっ。


 今、思い出した。


 あの人……


「先生と、キスしてた人……」


 あのきれいな顔も、声も覚えてる。


 先生の元カノ……実花さんだ。