ダメだと分かっていたけれど。



『あんな先生だから、生徒のこと好きになるんじゃない?』


 急に、真心の言葉が甦った。


 もし、そうだったら……


「……います。」


 先生の言葉の意味も、あたしに対する想いも、分からないまま。


 そのあたしの言葉で、今日のドキドキの居残りは終わった。



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 次の日。


 変に緊張する、登校中の電車。


『小泉、お前好きな奴いんの?』


「……っ~……」


 先生の昨日の意味深な言葉。


 心の中で、思い出しては体が熱くなる。


 あぁぁぁぁ!


 なんなの、あの言葉!

 タラシ野郎!


「あの、ちょっと……」


 心の中で暴れていたら、声をかけられた。


 ……もしかして、本当に暴れてたとか?


 そんな気は、なかったんだけど……


 とりあえず……


「ごっ、ごめんなさい!!」


 あたしは、思い切り謝った。

 とりあえず、振り返りながら、頭を下げた。

 変な人だったな……あたし。

 いや、電車で大声を出したから、もっとだ。