「え……あのっ……」


 びっくりし過ぎたのか、自分に呆れたのか。

 はたまた、安心したからか。


 言葉が出ない。


 涙なんて吹き飛んで。

 ただ、戸惑うあたしに、先生は。


「……ってか、なんでそんなこと聞いたわけ?」


 下を向いて、そう言った。


 なんでって……




 好きだから。




 ……なんて、死んでも言えない。


「な……なんとなくです!!」


 なにも言い訳が考え付かなくて、なんとなくなんていうバレバレの嘘をついた。


「……そっか。で、お前の涙の原因は……?」


 うわ……答えられないよ……


 答えちゃったら、告白することになっちゃうし……



「真心と、ケンカして……」


 ごめん、真心。


 昨日も恋バナで盛り上がってたけど。


 嘘つきます……


「え……それだけ?」


 先生は、驚いていた。


 確かに、友達とケンカしただけで休むとか、おかしい。


「そ……それだけです……」