よく考えたら、あたしは何を言ってんだろう。


 別に、彼女でもないんだから、こうやって問いただすなんておかしいし。


 確実に、今のあたしは、嫌な女。


「もしかして……」


 先生は、何かを思い出したかのように呟いた。


「実花(みか)と会った時の……」


 ……実花?


 あぁ、彼女さんの名前。


 胸が、苦しくなる。


「先生、もう一度聞きます。……彼女、いますよね?」


 傷つくと分かっていたけれど。

 先生に、嘘をついてほしくなくて。


 ……聞いてしまった。


「小泉、勘違いしてんだろ……」


 ……なにが?


「何言ってるんですか?あたしは……」


 そういった時、先生の温もりが消えた。


 先生が、あたしを自分から離したからだ。


「……先生?」


「お前が見たのは、俺の元カノ。付き合えってしつこいんだよ。昨日はいきなりキスされたっていうか……まあ、今は誰とも付き合ってない。」


 元カノ……?


 あたしは、ひとりで勝手に悩んで、泣いて、傷ついただけ……?


 嘘……


 完全なるバカじゃん。


  あたし。