叶うはずのない恋があった。



 校長室から出て、どこに行くわけでもなく、校舎をうろついた。



 『うん』とだけの、蛍からの返事。



 俺たちは、付き合わなくても終わるのか?


 この世に、叶わない恋があるのなら。


 せめて、お前だけは守りたい。


 そして、あの恋を再び……



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 放課後になった。



「小森」


「……なんすか」


「ちょっと来い」


 蛍に会う前に、こいつと話さなければ。



 体育館裏に小森と二人きりになる。


 そこに、蛍が来たことを確認してから、言った。


「お前だろ、あの写真は。」


「……ああ」


「なにがしたいのかは大体分かってる。ただ一つだけ、言いたい。」



 なんとなく、分かったのだ。


 こいつ、小森有雅は……



 蛍のこと、今も好き。