叶うはずのない恋があった。
校長室から出て、どこに行くわけでもなく、校舎をうろついた。
『うん』とだけの、蛍からの返事。
俺たちは、付き合わなくても終わるのか?
この世に、叶わない恋があるのなら。
せめて、お前だけは守りたい。
そして、あの恋を再び……
------------------
放課後になった。
「小森」
「……なんすか」
「ちょっと来い」
蛍に会う前に、こいつと話さなければ。
体育館裏に小森と二人きりになる。
そこに、蛍が来たことを確認してから、言った。
「お前だろ、あの写真は。」
「……ああ」
「なにがしたいのかは大体分かってる。ただ一つだけ、言いたい。」
なんとなく、分かったのだ。
こいつ、小森有雅は……
蛍のこと、今も好き。