『じゃあ、林先生、いけっち、さようなら。』



 蛍はそう言うと、走って行った。



 ―――いけっち


 初めて言われたな。




「っていうか、林先生。」



 すごいムカついた。



 この女、蛍を傷つけて……



 絶っ対、許さねぇ……



「ふふ、だって面白いじゃない。」



「なにがですか」


 俺は、林先生の手を振りほどいた。



 こんなことして、なにが面白いんだよ。


 俺が手を振りほどいたからか、驚いた顔をした林先生。


 でも、すぐに笑って。


「こんなことしていいのかな?」


 そう言った。


「もう、我慢できないんで。蛍は傷つけない約束でしたよね?」


「……もう、いいじゃない」


「俺は、デートはすると言ったけど、付き合うとは言ってない。」



「……ムキにならないでよ」


「はぁ……言いたければ言えよ。学校でも、教育委員会でも。ってか、キスもしてないのに付き合ってるなんて思われないだろうし。だから」


 林先生の肩をぐっと掴んで言った。


「さっさとうせろ、ババァ」