「でもまあ、蛍が恋できただけで、良かったよ。」


「……うん。でも問題が……」


「あれでしょ、モテモテ教師だから。」


「…その通り。なんか、遠くに感じて。」


 真面目な重たい話が、軽くなって、恋バナになった。


「でもさ、あたし的には、蛍には特別っぽいよ?」


「真心、お世辞はいらないよ。」


「いや、違う、違う。だって、いくら倒れたからって用もないのに話しかけてたじゃん。」


「そうだけど……先生だから。」



 あったら、いいななんて思っちゃう。でもね、先生なんだ。



「言っていいか分かんないけど……あんな先生だから、生徒を好きになるかもしれないよ?」


「あんまり期待すると、現実見ると苦しくなっちゃう。でも、期待しなよ!!」



 真心の一言は、魔法のようにすんなりと入って、あたしを楽にしてくれる。


 でも、もう一つ。


「チャラい。」


「いけっちが?」


「だって、誰にでもナンパしそうじゃん!?あたしのことも、可愛いとか……」


「可愛い!?」


 真心は、驚いて叫んだ。


「真心、シーィ!!」


「あっ、ごめんごめん……」


 真心は、すぐに謝った。


「で、可愛いって?言われたの?」