あぁ、あたしは何を自惚れていたんだろう。




 だって、瞬が一気に近くなったから。



 だからって、なんで忘れてたの?



 苦しむことは、当たり前なのに。


 いちいちへこんで、バカみたい。



 ちゃんと、我慢しないと……



 ……なんでだろう。



 頭が混乱して、分かんない。



 信じてるけど、信じられない感じ。



「蛍……」




 不安がらないで。


 そんな声で、あたしの名前を呼ばないで……



「信じてる。瞬は、有雅と違うもんね……」



「蛍、なにかあった……」



「……でも、今はごめん。やっぱ、怖いや。」



 有雅にあんなこと言われた後だからだろうか。



 怖いっていう気持ち、裏切られた時の、悲しくて、辛くて……



 後は、今まで感じたことのないくらいの黒い気持ち。


 どうしようもない怒り。


 もう、嫌なんだ。