「蛍。よく、そんなことを俺に話してくれたな。」



「だって、ひ、みつは、やだもんっ……」



「……ありがとう」


 先生はあたしの頭に顔を乗せた。


「一つ言えるのは……今と向き合うってことかな。」


「……?」



 どういうことかさっぱり分からなかった。

 先生は、あたしを自分から離して、目を見て言った。


「辛い過去に向き合う。それは、とっても苦しいことだと思う。けど、〝ケリ〟ってものを着けないと、これからずっとお前に引っ付いてくる。だから、嫌だと思うけど、小森と向き合ってみたらどうだ?蛍も小森も、もうあの時とは違うんだ。」


 『あの時とは違う』


 はっとした。


 そうか、あたしは……


「それに、もしその気があるなら……」


「分かってる。あたしは」



 ずっと、心に残ってたこと。


 嫌なことばかり浮かんでくるけど、それは全部付き合ってからのこと。


 あたしにとって最低でも、幼なじみなんだもん。

 一緒にいたんだもん。


 また、幼なじみのあの頃に戻りたいって思ってる。


 どうしても、消えないんだ。


 あの時とは、有雅も違うよね?


 また、あの頃に戻れるよね?



「有雅と仲直りしたい。」


 幼なじみとして、やり直したい。