意地悪そうに、先生が笑った。



 あたし今、「先生が好き」って言いかけた。


 ……告白するところだった。



「なっ、なんでもない!!」


「……ふーん」


 先生は、また意地悪そうに笑った。


 でも、急に真面目な顔になって言った。



「……俺は、なにも分からない。小森とお前にあったこととか。でも、いつだって近くで守るから。」




 どうして?


 どうして先生はあたしのこと分かってくれるんだろう。


 その言葉のおかげで、心が軽くなる。


 先生が持ってる魔法は、あたしをこんなにも温かい気持ちにしてくれる。



「先生……あたし」



 言わないと。


 有雅のこと、全部。


 もう、抱え込むのは止めた。


 それに、あたしのことをこんなにも考えてくれてる先生に、伝えたい。



 聞いて、くれますか?



 あたしと有雅にあったこと。

 あの、トラウマを。


 そして……全てを聞いた後、抱きしめて下さい。



  あなたの、手で。