「うっ……」






 女の子が指さした方は、怖くて見れない。





 もう、散々事実だと思い知らされてるのに。



 見たら、見てしまったら、本当に受け入れなきゃいけない。




 「キャー」なんて、黄色い声が聞こえる。



 きっと、有雅を見て言ったんだろう。




 その声があたしに近づく。




 お願いです、神様。



 どうか、あの恋でもう二度と傷つかないよう……




「……あれ?蛍」




 どうやら神様は、助けてなんてくれなかったみたいだ。




「……」



 体が、震える。



 その、聞き覚えのある低い声は。


 昔と変わらず、あたしの胸を苦しくさせる。



「久しぶり……有、雅……」



 目を見ずに言った。



 頭では分かってて。

 でも、分かりたくなんてないよ……